賃貸住宅が増加中。更新時の賃料値上げはかなりの難問。
賃料の値上げ・値下げ
オーナーにとって賃料は重要な糧です。
それは、生活費になっていることもあれば、新たな投資のための資金となっていることもあります。
なにより、重要な資産を使用収益させていることの見返りであることには間違いないと思います。
オーナーにとっては賃料はできるだけ高くして、収益を得たいものですよね。
しかし、借主からすると、安くない賃料を毎月支払うので、できるだけ安くして欲しいものです。
|賃料の値下げ
昨今は、相続税の基礎控除の減額とともに、賃貸不動産の建築が多くなされ、需給関係は供給過多の状態になってきています。
「新築物件であれば完成引渡し前に満室になっていた」なんていうのは過去の話です。
全国賃貸住宅新聞の記事によると、都内の新築マンションが半年以上満室にならない事例も出てきているようです。
このような状況の中では、更新時に借主から値下げ交渉がなされることもあるでしょう。
オーナーからすると、「値下げに応じなければ退去してしまうかもしれない」という危機感が生まれます。
選択肢としては「値下げに応じる」か「新たにサービスを加える」といったものが考えられます。
|賃料の相場感
リーマンショック直後と比べると、当社のある立川駅周辺は賃料が下げ止まっている感じはあります。
一時期に比べると、更新の際の賃料値下げ交渉も少なくなってきましたし、募集物件も、礼金をゼロにしていた物件が礼金1ヶ月にしても申込みが入るようになってきています。
|値上げは道のりが長く、成就しないことも
しかし、更新時の値上げとなると話は別です。
借主に応じていただける可能性は少ないといった印象です。
また、仮に値上げ交渉をするにしても、じっくりと時間をかけて交渉に挑む必要があります。
最低でも1ヶ月半前から交渉に入るほうがよいと思います。
バブルの時代には、更新の際に「今回から◯◯円値上げでいいですか?」「全然構いませんよ」なんてやり取りで賃料が値上っていったようですが、今はそれをやると逆にトラブルにもなりかねません。
本当に値上げ交渉をするのであれば、更新時に「次回更新の際は○○円程度値上げをする可能性があるかもしれません。」と2年前からじっくりと取組むぐらいの忍耐が必要です。
また、値上げにはそれなりの根拠も必要となってくるので、「単に入居時に値下げ交渉に応じたから、それを戻したい」といった理由だと難しいと思います。
なぜならば、賃貸借契約は、名前のとおり「契約」なので、多少の年数が経過したところで、当初の契約で一旦合意した内容を一方的に反故にするような行為は契約といった法律行為の性質上、なかなか裁判所でも認めてもらえないようです。
仮にその場の話の流れで、借主にうまく更新後の値上げに合意してもらっても、後から「やっぱり納得できません。」と言われてしまうと、結局はトラブルに発展してしまいます。
賃料値上げは、借主に心の底から納得してもらうことが必要です。
by 大丸商事 長谷川浩一
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