2024年問題から考える賃貸住宅の必要設備
働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題、いわゆる物流・運送業界の”2024年問題”。
いざその時を迎えるにあたり、賃貸住宅の設備において何が重要か、オーナーの皆様が考慮したいポイントをご紹介いたします。
特に、現代のライフスタイル変化と共に、配送関連の設備が急速に注目を集めています。
賃貸住宅においてどのような影響が出るのか
影響の出る賃貸住宅は次のような物件です。
◇宅配ボックスの無いオートロック付物件
◇宅配ボックスの数が戸数に対して少ないオートロック付物件
どちらの物件も人気設備となっている”オートロック”が仇になっています。
大丸商事の管理物件にも、セキュリティー意識が高まり、賃貸住宅にも広くオートロックが普及し始めた約10年~15年前の物件はいくつか該当があります。
しっかりと人気設備のオートロックを設置したのはよいが、当時は現在ほど通販が普及するとは予想できず、宅配ボックスの設置をしなかった経緯があります。
このような物件は置き配指定も難しく、エントランスに置き配をしても盗難リスクがつきまといます。
そうすると、「再配達」又は「コンビニなどでの受け取り」に頼ることになります。
そうすると利便性が損なわれるだけでなく、もしも再配達が有料化された場合、入居者に経済的負担を強いる可能性も考えられます。
では賃貸オーナーはどうしたら良いのでしょうか。
宅配ボックスの導入
まず検討したいのは、正攻法で”宅配ボックス”です。
日中多くの入居者が不在であるため、再配達のリクエストが増え、それが配送業者の負担となっています。この問題を解消するためには、宅配ボックスの導入が必要不可欠です。
入居者が不在でも荷物を受け取れるようにすることで、入居者の利便性を高めるとともに、配送業者の労力も軽減されます。
国土交通省も補助事業を行ったり、自治体単位でも補助事業を行っているところがあるようです。
置き配対応のセキュリティ設備
宅配ボックスの設置は正攻法ですが、スペースの問題もあるので、設置が難しい物件もあります。
オートロック物件の場合、不在時は部屋の玄関前まで配達員が行けないので、玄関先への置き配ができません。
そこで、オートロックより手前のどこかに”置き配エリア”を設定するのはどうでしょうか。こちらもスペースが必要ですが、宅配ボックスほどの広さは必要ありません。
置き配には盗難などのセキュリティ上のリスクが伴いますので、設備面での対策があるとより安心です。
例えば、防犯カメラの設置や、置き配エリアの明示など、入居者の安心を確保するための対応が必要です。
デジタルキーでより便利に
デジタルキーの技術を使って、オートロックを配達員が解錠する方法も出てきています。
例えば荷物の伝票に印刷されているバーコードが鍵になったり、配達員が持っているスマートホンがその時だけ鍵になったりします。
美和ロックなどのメーカー側からも新しい技術が出てきていますが、Amazonも独自のシステムを既存のオートロックに取り付けて置き配が可能なようにする無料サービスを提供しています。
しかし、いずれもオーナー側の対応が必要なので、入居者の利便性を向上させるためのサービスを導入することも考慮したいところです。
最後に
2024年問題を始めとした人手不足を迎える現代において、賃貸住宅の設備は、単に「住む場所」としての機能だけでなく、入居者の日常生活をスムーズにサポートする機能が求められています。
オーナーの皆様には、これらの設備をぜひご検討いただき、賃貸住宅の価値向上に繋げていただければと思います。
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