中古住宅市場は本当に変わるのか
中古住宅市場を見渡して
住宅金融支援機構は7月15日に「フラット35リノベ」の取扱いを10月1日から開始すると発表しました。
かねてより、国土交通省は「中古住宅の流通活性化」「良質な住宅のストックの供給」と言い続けてきました。
1.中古住宅の流通量
全住宅流通量に占める、日本の中古住宅流通量は平成20年時点で13.5%と、欧米(アメリカ:77.6%、
イギリス:88.8%)と比べて低水準です。
平成25年には14.7%と拡大傾向にあるものの、欧米諸国と比べると6分の1程度だそうです。
また、住宅寿命も欧米に比べて短く(日本:27年、アメリカ:67年、イギリス:81年)、これも中古住
宅の流通量が増えない原因と言われてきました。
アメリカでは、自宅を自分で手を入れながら使用し、中古で売却する際に価値を上げて売ると聞いたこと
があります。
一方、日本では、建てたら建てっぱなしで、メンテナンスを行わない住宅が多いのではないでしょうか。
2.国土交通省の目標
国交省は、中古住宅・リフォームの市場規模を「20兆円」程度にしたいと考えているようです。
理由としては、「地域の中小工務店等への経済波及効果」「耐久消費財(家具等)の購入による波及効
果」を狙い、地域経済の活性化を最終目標にしているようです。
3.中古住宅の金融機関から見た担保評価
これまで日本で中古住宅があまり流通しない背景として、金融機関からの担保としてのが評価されてい
ない、とよく言われていました。
これを受けてかどうかはわかりませんが、国交省は、平成25年3月に「中古住宅の流通促進・活用に関
する研究会」を設置し、金融機関の担保評価にかんする研究を行いました。
4.中古住宅市場活性化ラウンドテーブル
上記の「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」の報告等を受けて、「中古住宅市場活性化ラウン
ドテーブル」を平成25年9月に設置し、作業部会を12回開催しました。
ここには、不動産取引実務・金融実務の関係者が会し、意見交換をしたそうです。
その中では、中古住宅の建物評価や、中古住宅購入に際してのローンの課題、リフォーム一体型ローン
の現状と課題などもありました。
5.フラット35リノベ
国土交通省の目標やそれに伴う研究会等を見てくると、住宅金融支援機構が今回モデル事業として打
ち出した「リフォーム一体型ローン」は当然の流れなのかなと思います。
新たに住宅を購入されようと思ってらしゃるお客様は多くが新築を希望されます。
我々、不動産業者から見ても、今の中古住宅を流通させる際に、制度として曖昧な点があるなと思うこと
もあります。
ですから、新築をご希望されるお客様のお気持ちはよくわかります。
先般、宅建業法が改正され、「インスペクション」に関しての記載が増えました。
この先には、民法改正が控えており、今までの「瑕疵担保責任」という言葉がなくなり、概念も大きく変わ
ると言われています。
ますます勉強していかないと取り残されるな、と思うのでした。
by 大丸商事有限会社
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