相続・贈与税を非課税に(保育園向け土地貸与)
待機児童数の解消へ本腰か
昨今、待機児童の数が問題になっています。
「保育所落ちた日本死ね」というタイトルのブログ記事も国会で取り上げられるほどでした。
国は待機児童数の解消に本気モードなのでしょうか。
(全国賃貸住宅新聞 2016年9月5日号から)
|地主様からの相談
そんな時に、地主様から土地活用についてご相談を受けました。
約500坪(約1600㎡)の土地です。
但し、「建物を自分で建てないで、相続評価も下げたい」という条件がついていました。
その地主様のところには、ハウスメーカーやコンビニ、ドラッグストアなどが「建てませんか」「土地を貸しませんか」と話いくつも持って行っていましたが、条件が折り合わなかったそうです。
さらに、地主様には、不動産(土地・建物)を使って社会に少しでも貢献したいとの思いもございました。
そこで、待機児童問題が国会で取り上げられていたこともあり、保育園の運営を目的として土地を社会福祉法人に定期借地で貸すことをご提案させて頂きました。
建物の建築も社会福祉法人などの運営者側で行ってもらい、建貸をしない、あくまでも土地のみの賃貸借です。
結果は、市役所サイドで、現場から十数メートル離れた公立保育園が民営化されるので、認可保育園としての設置は難しいと言われ、保育園の設置は断念せざるを得ませんでした。
待機児童は市区町村内に均等にいるわけではなく、重点区域があるとのことでした。
|公立保育園の民営化で待機児童数が減らせるらしい
公立保育園は、市区町村の財政健全化や子ども・子育て支援法等の関係で民営化される過渡期にありました。
民営化する目的は、「民間の知恵と力で弾力的な保育園運営を行って、受入枠の増加をし、待機児童を減らす」のとあわせて、「各行政の財政負担を減らす事」です。
このような流れで、待機児童数は減少傾向にあるのだろうと勝手に解釈をしておりました。
ところが、全国賃貸住宅新聞の記事には上記画像の記事が掲載されていました。
「やっぱり保育園足りてないんじゃないの?」というのが、率直な感想でした。
確かに、このとおりに税制改正がなされれば、地主様へのインパクトはあると思います。
なぜならば、最近のアパート・マンションは相続税対策として建築されている事例が多くあるためです。
さらに、これから賃貸住宅を建築することで相続税対策をしようと思っていた地主様にとって、供給が過剰になってきている現在の賃貸住宅市場に参入するのは勇気がいることです。
仮に勇気を持って賃貸建物を建築し参入しても、最大で80%の減税効果。一方、土地を保育園向けに貸せば100%の減税効果(非課税)では、比べるまでもありません。
但し、全ての地主様が保育園向けに土地を貸せるとは限りません。保育園は厚生労働省所管の福祉施設のためいろいろと行政からも条件が出てくるでしょう。
|東京都の待機児童数を調べてみました
待機児童数の実態についてはいろいろと議論があると思いますが、ここでは東京都の統計データを利用します(島しょ部除く)。
平成27年度から平成28年度にかけて待機児童数は652人増加の8466人でした。
やっぱり保育園足りてないようです。
とはいえ、待機児童数が減少している市区町村もあります。
区部では23区のうち6区(区全体の26%)で減少、市部(島しょ部除く)では30市町村のうち12市町村(市区町村全体の40%)で減少していました。
東京市部では待機児童が減少している傾向が強いのが分かります。
これは、区部と比べて、保育園用地が確保しやすい事情もあるかもしれません。
待機児童の多さを区部・市部ごとにランキング(5位まで)してみました。
区部(カッコ内は平成28年度の待機児童数)
1.世田谷区(1198人、平成27年度より+16人)
2.江戸川区(397人、平成27年度より+50人)
3.板橋区(376人、平成27年度より-2人)
4.渋谷区(315人、平成27年度より+63人)
5.足立区(306人、平成27年度より-16人)
市部(カッコ内は平成28年度の待機児童数)
1.府中市(296人、平成27年度より-56人)
2.調布市(289人、平成27年度より-7人)
3.三鷹市(264人、平成27年度より+55人)
4.立川市(198人、平成27年度より+15人)
5.日野市(183人、平成27年度より+19人)
上記のエリアの地主様は保育園への土地賃貸借を検討してみてはいかがでしょうか。
by 大丸商事 長谷川浩一
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