一般媒介は不動産業者をコントロールする必要がある
不動産業者を上手に使いましょう
とあるオーナー様から、賃貸募集に関するご相談をお受けしました。
今回のご相談物件は店舗物件でした。以前、その物件ではコンビニエンスストアが営業をしていました。
コンビニエンスストアは撤退理由は売上不振ではなく、契約期間満了に伴うものでした。
確かに、コンビニエンスストアにするには、前面道路も丁度よい感じでした。
広めの片側1車線の道路で、ちょっと車を停めて買い物ができます。
現に、周辺にはパン屋さんやドラッグストアがあり、お店の前にちょい停めをしている様子がありました。
そして、現在は2社の不動産業者に入居者の募集をお願いしているとのことです。
ところが、そのオーナー様が言うには、お問い合わせが入ったという話が全く無いと言うのです。
|複数の不動産業者に依頼をする場合の注意点
賃貸でも、売買でもそうですが、不動産を所有されているオーナー様は少しでも早く、そして高く貸したい・売りたいと思ってらっしゃると思います。
そして、1社のみならず、複数の不動産業者に依頼をする。この事自体は決して悪いことではありません。
オーナー様のお知り合いの地元の業者と、大手の業者を使い、より広く深く借り手・買い手を見つけてもらう、なんてこともあるかと思います。
しかし、その場合には、1社に依頼するよりよりオーナー様がしっかりと不動産業者を管理する必要があります。
なぜならば、「複数の業者に依頼をする」ということは媒介契約における「一般媒介」となり、不動産業者には営業報告の義務がなくなるからです。
また、不動産業者にお客様からお問い合せが入った場合、毎回のようにオーナー様に物件状態の確認の連絡が入ることにもなります。
この確認は、まだお客様にその物件をご紹介しても大丈夫かどうかの確認です。
さらには、各不動産業者へ依頼したときの条件を一律にしておかないと、トラブルになりかねません。
つまり、一般媒介で複数の不動産業者に重ねて依頼をする場合は、オーナー様が各業者をコントロールする必要が出てくるのです。
|なぜ、不動産業者から物件状態の確認連絡が無かったのか
このオーナー様には娘様がいらっしゃいました。そして、その娘様は、良かれと思い、知り合いの不動産業者(A社とします)に依頼をしていたのです。
もちろん、オーナー様も付き合いの長い地元不動産業者(B社とします)に依頼をしていて、娘様が別の業者に依頼をしていることも承知の上でした。
そして、B社はオーナー様から娘様が別の業者に依頼していることを告げられていたのです。
よって、この物件の入居者募集している不動産業者は全部で2社ということになりました。
ところが、弊社が、ご相談を受けてそれぞれの募集状況を確認したところ、A社は「専任媒介」で募集中、B社は「一般媒介」で募集中でした。
本来、専任媒介であれば、B社はA社の承諾なく広告が出せないのです。
なぜこのような状態になったかというと、娘様がA社に、別な不動産業者にも募集させていることを告げず、暗黙の了解で「専任媒介」となってしまっていたようです。
さらには、募集条件が全くと言っていいほど異なっていたのです。
物件名・床面積・賃料・契約形態・敷金保証金・礼金などなど。合致していたのは所在地だけという状態でした。
そして、募集媒体もバラバラでした。
1社は「レインズ」のみ。もう1社は「一般向けポータルサイト(at home や SUUMO など)」のみ。
事情を知らない第三者から見たら、何がなんだかわからないような状態で、情報が錯綜しているように見えたことでしょう。
|不動産業者には得意分野がある
不動産業者の業者免許は「売買限定」「賃貸限定」などの限定免許ではありません。
つまり、宅地建物取引業に該当するもであれば何でも扱えます。
また、東京都知事免許であろうと、北海道知事免許であろうと全国の不動産が扱えます。
都道府県をまたいで支店がある場合には「国土交通大臣免許」になります。
とはいえ、地元密着でやっている不動産業者には得意分野や得意エリアがあることが多いです。
例えば、弊社の大丸商事では、賃貸と管理が得意分野で、立川・国立・昭島・日野・府中が得意エリアです。
逆に売買仲介を得意としている業者、建売を得意とする業者もいます。
今回の2社の不動産業者のうち1社は建売を得意としている業者でした。
|今後はお問い合わせが増えると思います
今回、オーナー様へご提案した内容です。
1.もし、複数の業者に依頼をするのであれば、とにかく条件を一揃えにすること
2.そして、仮に一般媒介であっても、営業活動報告をもらう
3.メインの相談窓口を決めて、他はセカンドオピニオン的に利用する
今後は、オーナー様と長い付き合いのB社をメインにしていかれるそうです。
市場に出回る情報がしっかりとしてくれば、自然とお問い合わせが増えると思います。
立地も良いので、いい借主様が現れることを願っています。
by 大丸商事 長谷川浩一
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