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2016年11月12日
コラム

都宅協主催のセミナー(テーマ:震災対応)に参加しました

東日本大震災から学ぶ不動産会社の震災対応

 

 

昨日、オリンパスホール八王子で13:00~開催された、東京都宅地建物取引業協会主催の都民公開セミナーは、宮城県仙台市にある第一建物株式会社の代表 佐々木正勝氏の講義でした。

内容は「東日本大震災から学ぶ!不動産業者管理業者のための震災マニュアル」という内容です。

 

講師の佐々木正勝氏はIREM JAPANの会員で、CPM米国公認不動産管理士の仲間でもあります。

 

CPMは高い倫理観をもって、オーナー様の利益を最大化することを使命とする、アメリカの賃貸不動産業界では権威ある資格となっております。詳細はIREM JAPANのホームページを御覧ください。

 

佐々木正勝氏はご自身も被災され、お身内・従業員の方を津波被害で亡くされながらも、入居者・オーナー様のために、あの未曾有の災害のなか、賃貸住宅管理業者として震災当日から孤軍奮闘されたそうです。

 

私自身、大変お恥ずかしい話ですが、東日本大震災の現場で対応にあたった方のお話を生で聞くのが初めてでした。

今回の講義の中では、それはもう生々しいお話もしていただき、様々な感情になりました。

 

 

|東日本大震災の経験をもとに作られた震災対応マニュアル

 

そんな苦難に遭いながらも、宮城県の宅地建物取引業協会の方たちがまとめ上げてくださったのが、この「震災対応マニュアル」です。

 

 

202ページに及ぶこのマニュアルは、時系列にまとめられていて、「事前準備」から「震災1年後」、そして「復興期」までと、不動産業者がどのようなことに注意し、どのような対応が望ましいのかが詳細に書かれています。

 

内容もわかりやすい図解や写真を多用していて、書類のひな形なども掲載されています。

 

 

さらには、教訓として、実際に不動産会社の担当者が見聞きしたり、思ったことのケーススタディもあるので、大変参考になります。

 

 

|講義のかなで印象的だったこと

 

今回の講義の中では、この震災対応マニュアルの中身について細かく触れることはありませんでした。

しかし、佐々木氏の実体験に基づいたお話を140枚余のスライドを交えて聞くことができました。

 

1.緊急連絡用ポストの設置

大震災が発生すると、入居者の安否確認が容易にできなくなります。

携帯電話の基地局への送電もストップし、携帯電話が使えない状態になるためです。

そこで、段ボールなどで簡易的に作ったポストを物件へ設置します。ポストには、入居者に避難先や連絡先を入れてもらいます。

こうすることで、安否確認と同時に連絡先や避難先の情報も得ることができます。

但し、これは、毎日回収しに行く必要があるそうです。

実際にはいつまでたっても情報が入らなかった入居者もいたそうです。

 

2.エアコン室外機・給湯器や店舗内商品の盗難

避難して誰もいなくなった物件から、エアコン室外機や給湯器などの設備機器の盗難が相次いだそうです。

ドレイン管や給水管などは工具で切られていたそうです。

 

また、大手家電量販店やスーパー・コンビニなどの商品が残っている店舗では、トラックで乗り付けて、複数人でごっそり持っていってしまったこともあったそうです。

そのときに聞こえてきた話し声は日本語ではなかったとのことで、店舗責任者が店にはいたそうですが、身の危険をさらすことになるので、制止できなかったそうです。

 

3.ライフライン復旧にともなう2次的被害の漏水

震災によって停電になった場合、通電時に火災になるケースがあることはよく知られています。

ですので、震災発生後はブレーカーを落とすことは入居者もしてくれることが多いでしょう。

しかし、地震によって建物内の給水管が損傷を受けている場合、水道が復旧すると同時に、建物(部屋)内に漏水が発生することがあったそうです。

避難する際は、ブレーカーだけでなく、水道メーターのところにある元栓も閉めると防げるそうです。

 

4.受水槽への蛇口の設置

震災によって水道が止まってしまっても、受水槽の中には水が残っています。

その水を有効利用するために、受水槽に緊急用の蛇口を取り付けすると良いとのアドバイスもありました。

近年は直結給水方式が多くなってきていますが、緊急時には受水槽が役立つこともあります。

 

5.近隣地区外の関連業者の確保

大震災が発生すると、地元の建設業者や土木業者も同じ被災者となり、対応できないことが多くあります。

こんなときには、エリア外から応援に来て頂く必要が出てきます。

普段はコスト面や意思疎通のしやすい地元の建設業者を使っていたとしても、いざという時に応援に駆けつけてくれる建設・土木業者を確保しておくことが、迅速な復旧に役立ちます。

平時に近隣地区外の業者と、「緊急時の応援に関する契約」などを取り交わしておくことも必要です。

 

 

番外編

避難所で過ごすことはプライバシーの面からも、とてもストレスになります。特に女性は大変ですよね。

だからといって、玄関ドアが歪んでロックができなかったり、窓もクレセントが噛み合わない状態になっている部屋へ帰ってお休みになることは避けたほうが良いとのことです。

東日本大震災においても、強姦強盗被害が十数件発生したとのことです。

 

 

以上のように、経験したからこそわかるお話が盛り沢山でした。

実際には、もっとたくさんのお話がありましたが、一部のご紹介となっています。

 

普段はいざという時のための事前準備業務は後回しにしがちですが、できるときに準備しておくことが重要だと感じました。

 

 

|教訓をいつでも活かせるように

 

関東ではしばらくの間、建物の倒壊を伴うような大規模な地震は起きていませんでした。

前回の関東での大地震での教訓は、今の街の構造にどの程度活かせるでしょうか。

そういった意味でも、今回、宮城県の宅地建物取引業協会が編纂してくれた、震災対応マニュアルはとても貴重な情報です。

 

震災対応に当たった不動産業者が残してくれた教訓を活かせるようにするためには、事前準備が大切だと感じました。

 

 

 

by 大丸商事 長谷川浩一

 

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