大丸商事有限会社
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2016年12月23日
コラム

忘れられた1台の自転車

駐車場敷地内の放置された自転車


管理をしているとある駐車場の地主様より、「誰のか分からない自転車がある」との電話連絡がありました。


駐車場は収容台数が5台で、地主様のご自宅の道路側を賃貸しておられます。

前面道路は公道で幅員約5m。交通量は少ない生活道路にすべての区画が垂直に並んだ、非常に車の出し入れのしやすい駐車場です。


その一番端の区画の横、幅約60cm程度のスペースにその自転車はありました。


(写真はイメージです)


|駐車場を契約している関係者の自転車?

さっそく現場に行き、状況を見たところ、自転車の鍵はしっかりと施錠され、電池式のライトもちゃんと点灯します。

さらに、タイヤの状態を確認したところ、パンク等は無く、空気も適正に充填されていました。


前カゴを覗くと、紙袋と毛糸の手袋が入っていました。

紙袋の中にはポスティング残と思われるチラシが。


と言った具合に状況の確認をしていたところ、地主様の奥様がご自宅から出ていらっしゃいました。

地主様は当初、駐車場契約者が何らかの事情で駐車場まで自転車で来て、駐輪しているのだと思ったそうです。

しかし、それぞれの車の出入りがあっても、自転車が動く気配がないので、弊社に連絡をしたとのこと。


そこで、奥様に自転車の前カゴにポスティング残と思われるチラシが入っている旨の説明をしたところ、2日前の夕方にそのチラシが投函されていたそうです。


この時点ではまだ、契約者関係の自転車である可能性もあるので、念のため各契約者に確認をしました。


ところが、いずれの契約者も「自分のではない」との回答だったので、次の段階へ。



|ポスティング中に自転車が盗まれた?

ポスティング業者が自転車やバイクでポスティングをしていても、一定部数を手に取り、自転車などの乗り物は近くに置いて、歩いてポスティングすることがあります。


その最中に運悪く自転車が盗まれ、この駐車場に乗り捨てられた可能性も否定できません。

そのため、一応警察官に臨場していただき、盗難届での確認をして頂きました。


とはいえ、しっかりと施錠されていたので、盗難の可能性は低いだろうと踏んではいました。

しかし、所有者不明で処分するにしても、盗難届が出ているかの確認はする必要があります。

これには理由があります。

ひとつは、仮に盗難だった場合、犯罪行為が行われたわけですから、倫理上警察に通報するべきだということ。

ふたつめは、盗難届が出ていれば、警察が現場から自転車を移動して所有者に返却してくれること。


特に大きい理由はふたつめの理由です。

地主様にとっても処分する手間が省け、更には困っている所有者に返却ができるという精神的なメリットは大きいでしょう。


ですが、案の定、盗難届は出されてはいませんでした。


拾得物として警察に届けることも考えましたが、そのためには、最寄りの交番まで運ぶ必要があるので、ためらっていました。



|忘れられた自転車

盗難届は出ていませんでしたが、防犯登録番号から、警察は自転車の所有者の住所・氏名・連絡先を知ることができます。

個人情報の関係から、我々管理会社や、地主様に教えてはくれませんが、警察官は連絡をとってくれるとのことで、一旦現場からは引き揚げました。


しばらくすると、警察官から電話がありました。

内容は、「電話番号がわかったのだけれども、電話番号が変わったようで、連絡が取れません。ついては管理権限で処分をしても良いですよ。」とのこと。


自転車の状況を見た地主様の奥様は、「ポスティング中に自転車を現場に置き、置いた場所が分からなくなったんじゃないか。最近は日が暮れるのも早いし、無かった車が駐車すると影になって見えづらくなるから。」とおっしゃっていました。


本来は、あっさりと処分をしてしまってもよいのですが、自転車を見る限り、年配の方の自転車のように感じます。

その年配の方が、一生懸命にポスティングをして仕事をしていた姿を想像すると、あっさり処分する気にもなれませんでした。


そこで、チラシに記載してある広告主へ電話を掛け、事情を説明し、広告の発注先を教えてもらうことにしました。

広告主は地元の事業者で、私もよく知っている会社でした。

電話で担当の方に事情を説明したところ、発注先へ連絡をとってくれるとのこと。

しばらくすると、広告主の担当者から折り返しの電話が入りました。

「発注先でポスティングを請け負った人が、自転車をどこに置いたかわからなくなり、探していたそうです。住所を教えていただければ、取りに行かせます。」と、気持ちの良いお返事が。


住所を教えて、約1時間後、帰りがけに見に行くと、自転車はもうありませんでした。


もしかしたら、約2日間、その人は探し回っていたのかもしれません。



なにより、自転車が手元に戻ってよかったです。


by 大丸商事 長谷川浩一

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