大人の話ができない賃貸仲介の担当者
借り手市場ですが強気すぎるのは…
先日、弊社でご案内したお客様が申し込みの意思を示してくださいました。
そして、申込みの日時の設定をして、いざその当日となりました。
申込みにご来店いただく当日、その物件に関して遠方の仲介業者から問い合わせありました。
更には、まだ公開していない退去予定のお部屋の空室確認までも。
仲介業者は電話口で、「申込みをしたいんですが~。」と言います。
しかし、これまでにその仲介業者がお客様を連れて、物件を案内したことはありません。
不審に思い、「ご案内はなさらなくていいのですか?」と尋ねたところ、「お客様はもうご覧になっています。」とのこと。
まぁ、俗に言う【抜き】の近似行為です。
※【抜き】は厳密に言うと、「媒介契約締結後に違う仲介業者が依頼者を誘引して媒介契約を締結させる行為」です。
なので、賃貸業界で、お部屋探しをしているお客様を取り合うのとは若干意味合いが違うかもしれません。
|正直【抜き】は一向に構わない
かつては、仲介手数料は家賃の1ヶ月分が一般的でした。
ところが、最近は仲介手数料「半額」、もしくは「無料」を謳う仲介業者が増えてきました。
そんな中で、一般のお客様が「できるだけ初期費用を抑えて引越ししたい」と思い、より安い仲介手数料の仲介業者に行くことは当たり前でしょう。
もちろん、我々管理会社も仲介業者同様、お客様をご案内します。
しかし、我々は管理物件の空室対策で入居者募集をしています。家主様から管理をお任せいただいている物件の空室を埋めるために、そして、より良い入居者に入居していただくことが目的です。
つまり、仲介業者とは目的が違うのです。
ですので、業界ルールとして、本来【抜き】は御法度ですが、目的から考えればあまり気にしていません。
|賃貸におけるお客様の【抜き】の典型例
上記に記述したように、一般のお客様からしたら、不動産業界のルールは関係ありません。
ですから、お客様が、別な手数料の安い仲介業者に行き、その仲介業者経由で申込みを入れることに関して、そのお客様を咎めることはナンセンスです。
しかし、仲介業者側には一定の配慮が求められると思います。
例えば、管理会社が物件Aを案内し、申込みの意思を示したが、当日は申込書に記入せず、もっといい物件があるかもと思い、別の仲介業者のお店に行ったとします。
しかし、その仲介業者でもコレといった物件は見つからず、仲介業者から「ウチは手数料半額です。気になる物件があれば言って下さい。」などと言われます。
その際に「さっき管理会社で案内してもらった物件がどうしても気になります。」とお客様が言った場合、大抵仲介業者は、「ウチでも契約できますよ。」と言うと思います。
確かに、可能でしょう。しかし、多くの仲介業者はこの時点で、いきなり管理会社に電話します。
「物件確認です。物件Aはありますか?申し込みしたいのですが。」
これを聞いた管理会社は「???」だと思います。
なぜならば、「案内をしていないのに申込みとはどういうことなのか」と思うからです。
管理会社にとって怖いのは入居後のトラブルです。
なので、ちゃんと現物を見てもらって、納得してから申込みをしていただきたいのです。
なので、管理会社はこう言います。
「ご案内はしていただきましたか?」
|但し、【抜き】を良しとするには前提条件がある
上記のような場合、仲介業者の対応は概ねふたつに別れます。
1.どの仲介業者を使うかはお客様の自由、あんたは関係ない
物件の空室確認をして、お客様の申込意思を管理会社に伝える仲介業者。
その態度はなんとも高圧的。
「お客様は、別な業者に案内してもらって見たと言っている。だから申込書をくれる!?」
まるで、客付けする自分が一番偉いと言わんばかり。
2.ご案内のお仕事省かせてもらいますが、いいですか?
物件の空室確認をして、お客様の申込意思を管理会社に伝える仲介業者。
その態度は至って丁寧。
「お客様は、御社でご案内をしていただいたとおっしゃっています。しかし、弊社は仲介手数料が半額なので、ぜひとも弊社経由で申込をしたいとのこと。仲介に入らせていただきますがよろしいですか?物件の状況は後日、私も見学をして確認を致しますので。」
上記の「1」と「2」どちらの話に耳を傾けたくなるでしょうか。
当然「2」の仲介業者の話です。
しっかりとした話し方で、事実を理路整然と伝えていただけると、管理会社も安心します。
【抜き】を良しとするには、管理会社の安心感が必要なのです。
|賃貸仲介業者の担当者にも売買担当者のような落ち着きが必要
一般のお客様には関係ない、業界ルール。
最初にお客様をご案内した業者がその物件の管理業者である場合、【抜き】を容認するかどうかは仲介業者の担当者の人間性に掛かってると言っても過言ではありません。
事実をしっかりと把握し、相手と交渉することができる。これは、良い担当者の証です。
高圧的に自分の主張を相手にぶつけ、感情で話す仲介担当者は少なくありません。
若い担当者が多い賃貸業界。もっと大人の話ができる担当者が増えることを切に願います。
by 大丸商事 長谷川浩一
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