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2017年06月26日
コラム

一人暮らし高齢者が認知症に

高齢社会と言われて久しいですが、近年は単身高齢者世帯も増えている印象です。

実際に総務省統計局の「統計から見た我が国の高齢者」をみてみると、65歳以上の高齢者単身世帯が増加していることがわかります。

同居者がいない高齢単身者が加齢に伴う認知症を発症した場合、管理会社や家主はどのようなことをすればよいのでしょうか。

実際の事例を交えてご紹介いたします。

 

高齢者特有の物忘れ?

その人は、当社の近くにある管理物件に入居している単身の高齢者でした。

近いこともあり、しばしば店舗へ顔を出してくれていました。

 

あるとき、ひと通りのお話をして、お帰りになられた直後に戻ってきて、ご説明した内容の確認をしていきました。

このときは、気にもとめず、世間話に埋もれてしまった内容の確認をしに来たのだろうと思っていました。

 

そして、数回同じような確認作業を経た後、更新手続きを済ませ月日は流れてい行きました。

確かに、同じような質問が複数回ありましたが、年齢を重ねると不安になることも多いのかな、程度に感じていました。

 

これは「おかしい」と感じたきっかけ

前回の更新から2年が経過し、再度の更新の時期となりました。

これまでにも、【部屋の一角から臭いがするから見に来て欲しい】や【不審な男の人が部屋の前に立っている】【物が盗まれた】など、「もしかして」と思う言動はありました。

 

しかし、ハッキリと「これはおかしい」と感じたきっかけは、更新手続きに関する話の理解でした。

 

今までは難なく理解できていたお話の理解が、難しくなっている印象でした。

何回も来店しては、同じ質問を繰り返し、電話も数え切れないくらいに掛かってきました。

来店いただいた際に、「理解をした」といってお帰りになるのですが、2~3分経たないうちに戻ってきて、また同じ質問をします。

時には、戻ってきた際に「何しに来たんだっけ?」となってしまうこともありました。

電話ときもほぼ同じでした。

 

連帯保証人へ状況の説明

連帯保証人へ入居者の言動のご説明をしました。

ご親族である連帯保証人は電車で1時間程度の場所にお住まいでしたので、すぐに様子を見に来ていただくことができ、状況の理解をしていただきました。

病院へ行くようにそれとなく話をしてくれましたが、入居者本人は「病院へは定期的に通っている」との返答で取り付く島もない状況でした。

 

地域包括支援センターへの相談

これまでの言動などから当社では「認知症」を疑っていました。

以前は身なりにもしっかりと気を使う小綺麗な方でした。

しかし、この頃は、着ている服もチグハグで、お顔も急に老けてきているように感じました。

症状の進行具合が早く進んでいると感じたことから、連帯保証人による対応を待たず、地域包括支援センターへ連絡を入れました。

 

すぐにケアマネージャー等々が対応をしてくれました。

 

まずは介護保険を使うことから

単身高齢者の場合、一緒に病院へ付き添ってくれる家族もいないので、病院から「認知症」などの診断を受けることが難しくなってきます。

 

法律上、身寄りのない人が意思能力を欠いていると判断される場合、行政の長などによる後見人の申し立てが可能になります。

そして、このような行政の支援を受けるために、まずは、行政の枠組みに入る必要があります。

 

そのきっかけとなるのが介護保険制度の利用です。

介護認定を受けると、行政の支援によって後見人の申し立てなどの支援を受けることができるようになります。

 

後見人はあくまで財産の管理のみ

後見人は家族などの親族がなる場合もありますが、職業後見人として、司法書士や弁護士が後見人となる場合もあります。

家族などが後見人になっても、裁判所の判断により、後見監督人の選任を要する場合もあり、この後見監督人は司法書士や弁護士といった専門家が担います。

そして、後見人はあくまで被後見人(支援を受ける人)の財産上の管理のみを行います。

 

徘徊などによる身体保護は施設がよい

単身高齢者の場合、身近に徘徊を防止してくれる人がいないため注意が必要です。

今回の入居者も、当社への道順が少しずつ分からなくなってきていました。

この状態が進行すると、やがて迷子になってしまいます。

信号を見落として事故に遭うかもしれません。

万が一のときに、人物を特定する身分証や診察券などを持っていなかったらどうなるのでしょう。

家主や管理会社からすると、何日も連絡が取れなくなり、最終的には所在不明の決定をせざるを得ない状況になるかもしれません。

お部屋内に残された残置物の処理はどうするのでしょう。

 

考えただけで気が重くなります。



このようなことを防止するにはやはり施設に入所することが良いのではないでしょうか。

一見、その人にとって無理強いをするように映るかもしれませんが、ケアマネージャーさんやヘルパーさんが上手く説得してくれます。

常に人の目があり、身体保護を図る施設は選択肢のひとつです。

 

今回の入居者は、当初デイサービスから始まり、施設への滞在時間を増やした後、最終的に高齢者施設への入所となりました。

 

最終決定はご本人の「私、ここがいい」の一言だったそうです。

 

コミュニケーションを取る重要性

今回の事例は、いかに入居者と「コミュニケーションを取ることが重要か」を改めて感じさせてくれました。

認知症の症状によっては、被害妄想や攻撃的な性格に変わり周りに迷惑をかけてしまうこともあります。

今回の入居者は穏やかな調子で、発症する前と性格的に大きく変わることはありませんでした。その分、周辺の住民の方も「何か変」とは感じながらも、体調の変化にハッキリと気付きづらかったと思います。

 

特に一人暮らしが長い高齢者は、性格的にもしっかりしている方が多く、周りに迷惑を掛けまいと頑張っているだけにSOSが遅くなりがちです。

こんな時に、そっと手を差し伸べるためには、普段からコミュニケーションを取る必要があります。

 

by 大丸商事 長谷川浩一

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