オーナーさんには敵いません
昔と違い、賃貸の入居者募集をインターネットで行うことは今や当たり前の時代となりました。
紙情報と違い、インターネットでは様々な情報発信ができます。
文字はもちろん写真や動画などあの手この手で広告をするわけです。
もちろん広告を行うのは不動産業者の仕事ですし、アピールできるポイントがあればそれを最大限アピールします。
しかし、物件をとても愛しているオーナー様にはとても敵いません。
また、物件を愛しているが故の不当表示要求もありますが、業者は乗っかってはいけません。
おたがいに誠実が一番だと思います。
不動産業者には意見を言っていいのです
オーナー様ご自身の所有物件を不動産業者に募集依頼をすると、当然不動産業者はインターネット広告を行います。
それは、「SUUMO」「at home」などのポータルサイトを始め、不動産業者が管理するホームページ、いわゆる自社ページでも行われています。
さらには「facebook」「twitter」などのSNSを活用しているところもあるでしょう。
オーナー様は不動産業者が行っている広告をチェックしていると思いますが、内容はいかがですか?
「もう少しこうしてくれたら良いのに」とか「ここもアピールして欲しい」などがあれば遠慮せずに伝えてみてください。
SUUMOなどのポータルサイトの場合、ポータルサイト側の都合で「文字制限」や「写真の点数制限」などがあるので不動産業者側でどうにもならない事が多いのは確かですが、自社ページの場合、融通が効くことが多いと思います。
写真の配置や配色などのデザインは変更できなくても、書かれている内容や写真はある程度変更ができると思います。
場合によってはオーナー様によるアピールポイントやオーナー様が自身で撮影された写真データを持ち込んでも良いと思います。
業者は嫌な顔しないのか
まぁ、難しい問題ではあります。
嫌な顔をする業者も正直いると思います。
なぜならホームページなどに対するスキルやシステム上の問題から、要望通りにできないこともあるからです。
でも、業者も気が付かなかったり知らなかったアピールポイントがあれば、それは双方にとってメリットしかないのでぜひ業者としては教えていただきたいと思います。
例えば、オーナー様ご自身が手配してリフォームした場合、こだわったポイントや設備に関する詳細は物件を見ただけではなかなか分かりづらいものです。
また、設備に関しては見た目で新品に見えても、業者が確信できない限り広告で「新品設備」と記載しません。
また、見た目ではわからない便利機能のついた設備などもやはり業者に伝えてあげたほうがよいでしょう。
業者も良い広告が出せればお客さんが来てくれるので、広告の内容の部分に関してはオーナー様の指摘は貴重な情報となります。
物件を愛しているオーナー様ならではの情報やアピールポイントに勝るものはないと思っています。
できること、できないことがある
これまでは、可能であれば不動産業者が出している賃貸物件の入居者募集広告に不足している情報があれば、ぜひ伝えたほうが良いし、要望も伝えたほうが良いと言いました。
しかし、内容によってはそのとおりにできないことがあります。
不動産は「宅地建物取引業法」や「不当景品類及び不当表示防止法」「不動産の表示に関する公正競争規約」などにより広告する際の決まりが定められています。
例えば、広告に使えない文言として
「完全」「完ぺき」「絶対」「万全」
などはいわゆる禁止ワードです。
他にもたくさんありますが詳細は公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会のページに記載があります。
また、距離についても計測方法が決まっており、不動産広告でよく目にする「徒歩◯分」なども、「道路距離で80mを1分とする」と決められています。
それは絶対にできません!
以前にとあるオーナー様からこのような要望を受けたことがあります。
「駅から徒歩11分と記載してあるが、徒歩7分ぐらいにできないか? せめて徒歩10分と記載してくれればポータルサイトでも検索されやすいと思うんだけど。」
という内容でした。
さらにそのオーナー様はこう続けました。
「駅からの徒歩◯分という表記はオーナーや不動産会社が自由に決められるって知り合いの不動産業者が言ってたんだけど。」
このようなことは絶対にできません。そんなこと言ったらなんでもアリになってしまうと思うのですが・・・。
ただでさえ信用評価が高くない不動産業界が一生懸命に信用評価を高めようと頑張っている中で、はっきり言って不当表示そのものを行うことはできません。
正直、このような誘惑に駆られることはありますが、我々は免許を頂いて仕事をさせてもらっていますので、騙すような行為は「致しません!」。
ということで、今の不動産広告のルールをご説明申し上げ、丁重にお断りをしました。
しかし、その分しっかりとアピールポイントをお聞きし、広告に反映したところ程なくして申込みが入りましたよ。
それにしても、その知り合いの不動産業者は一体・・・、と思うところはありますが、ほとんどの業者はしっかりとルールを守っていると信じています。
きっとそのオーナー様も物件を愛するが故の要望だったのだろうと思いますが、お部屋探しをしている人に対して誠実に向き合いたいですね。おたがいに。
by 大丸商事 長谷川浩一
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