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2018年12月06日
コラム

修繕費の積立していますか?

分譲マンションでは「管理費」「修繕積立金」という名目で管理組合に支払い、管理組合が会計処理を行っていると思います。

しかし、賃貸アパートや賃貸マンションの場合、管理費や共益費があっても適切に使われているか入居者が知ることは難しい場合が多いのではないでしょうか。

その原因は税制にあります。賃貸オーナーは賃料であろうと管理費や共益費であろうと税務署に対して収入として申告し、その分の所得税を収めています。

 

分譲賃貸マンションの修繕積立金は損金処理が可能

分譲マンションを賃貸しているオーナー様はご存知かと思いますが、修繕積立金は損金処理(経費算入)が可能です。

しかし、それには条件があります。国税庁によるとその条件は次の4つです。

  1. 組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
  2. 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
  3. 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
  4. 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること

実際に修繕が行われて費用が発生してから損金処理を行うのが一般的な税務処理の考え方ですが、分譲マンションは管理組合に毎年義務的に支払わなければならない事情があるので、税務当局も上記のような条件を満たす場合、損金処理を認めています。

積立てをしている段階でも損金処理が可能なところは、一棟丸々所有するオーナー様の税務処理と異なる部分です。

賃貸アパート・マンションの修繕積立金は課税対象?

先日、自由民主党賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連)の平成30年度総会が行われました。

ちんたい議連とは、賃貸住宅業界の課題について関連団体と連携しながら国政に反映することを目指す国会議員からなる連盟です。「石破茂議員」が会長を務めています。

そこで、行われた議論のひとつに、「賃貸住宅における修繕積立金の経費計上」がありました。

賃貸アパートや賃貸マンションの場合、建物全部をオーナー様が所有することになります。

ですので、大規模修繕に関する費用を積立てるかどうかも含め、建物所有者であるオーナー様の判断ひとつということになります。

そもそも、日本における賃貸住宅では大規模修繕のための積立金はおろか、大規模修繕計画を策定している物件は少数派です。

では、本来有益なはずの大規模修繕計画を策定してる物件が少ないのは何故なのでしょうか。

ひとつの原因として考えられるのは、分譲マンションの修繕積立金は課税前の金額から損金処理ができるのに対し、賃貸アパートや賃貸マンションで修繕積立金を拠出する場合、所得税など税引後の収益から修繕積立金を選り分けることになる税制の差にあります。

つまるところ、修繕積立金として積み立てる金額にも課税されるのと変わらない状況があるという事です。

 

民法改正により家賃減額

約120年ぶりとなる民法(債権法)改正が行われ、2020年4月1日から施行されます。

この民法改正により建物の賃貸借契約においても「敷金返還」「連帯保証人の極度額の設定」「住宅設備故障時の家賃減額」など、これまでと比べ大きく変更になる部分が出てきています。

特に「住宅設備故障時の家賃減額」はオーナー様にとってはより厳しいものとなりました。

これまでは、「入居者が家賃の減額を請求できる」という内容だったのに対し、改正後は「家賃が減額される」とほぼ自動的に減額となります。

当然、設備修理や対応するまで時間が必要なので契約において免責期間の設定が行われる予定ですが、ほぼ確実に設備故障には対応しなければならなくなります。

大規模修繕だけでなく、このような不測の設備故障に対応するためにも一定金額の修繕金の積立ては必要になってくるでしょう。

 

これからは修繕計画を

前述のように、設備や躯体の不具合により契約通りにお部屋が利用できなくなると家賃減額や修理対応が必要となります。

どちらにしても収益に影響するのは間違いありません。

このような事から「ちんたい議連」では修繕積立金の経費計上が議論されました。

これからはますます賃貸住宅の修繕計画が必要性が高くなるのではないかと思います。

今はまだ議員連盟で議論がされたばかりで、実際に税制に反映されるかは未知数ですが、修繕積立金が損金処理(経費計上)できるようになれば入居者にとっても賃貸オーナーにとっても良いことだと思います。

税制面から修繕計画を促進するという今回の議論は非常に有益ではないでしょうか。

 

by 大丸商事 長谷川浩一

 

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